チャンマールタイムス

様々なニュースについて語ります。

経済学とはなにか その2

※以前下書きに書き溜めていた物の放出 

 

ポイント

・経済学≒政治学

経世済民

・ノーベル政治学賞?

 

 さて今回も経済学について。経済学というのは英語では「economics」と言います。かつては「economic sience」と言ったりもしましたが、現代はほとんどeconomicsで通じます。

 ここ数十年、大学の学部で人気なのは「政治経済学部」だと聞きます。「政経」とか略されるやつですね。元々多くの大学では政治学部と経済学部は切り離されていましたが、そういったブームのために統合した政経学部を新設した所も多いそうです。

 ここで疑問なのが、政治と経済ってそもそもどう違うのか?という点ですね。漠然とはもちろん判りますが、明確な定義の違いとはなんでしょう?経済はもちろんお金の流れを分析したり研究する学問です。政治学とは?政治とは?

 政治がどうやって必要になってきたかを考えてみましょう。原始時代、人々は狩猟や採集で生活を営んでいました。そんな中、Aさんは獲物をたくさん捕まえることが出来、Bさんは狩りが苦手でした。でもBさんは知恵があり、病気に効く薬草が何であるかを知っていました。AさんとBさんがいる集落で、それぞれがお互いに独立して生活していたら、Aさんは食べ物はたくさん食べられますが、病気になったらすぐ死んでしまいます。Bさんは常にひもじいですが、病気になってもすぐに治ります。Aさんの狩猟の能力(及び捕まえた獲物)とBさんの薬草の知識は、いずれもその社会における重要な財産です。これをお互いに分け合うようにして、その集落全体の生存可能性を高めよう、という営みが「政治」となります。AさんとBさんがお互いの持っている能力=財産を持ち寄れば、二人とも十分に食べることが出来、また病気の脅威からも守られます。AさんとBさんが独立していたら成しえなかった生存可能性の向上が実現したのです。

 こんな政治の役割をデイヴィッド・イーストンという政治学者は「価値の権威的配分」と定義しました。おおむね「政治」というものの定義はこれで間違いなかろうかと思います。さて、この価値とは?現代社会ではほぼお金で定義することが出来ますよね?人々からお金を税金として集めて、それを社会の要請に併せて適切に分配する。その配分を決めるのが政治です。税金や国債を用いて経済をコントロールするのも政治。政治っていうのはほとんどがお金の事なんですね。だから財務省は最強の役所と言われますし、国会でも最も重要な会議は予算委員会です。

 そうなると、政治学とはほとんどが経済学である、とも言えます。事実政治学の世界で重要な功績を残した人の多くは経済学者です。ケネス・アローであるとか、ヨーゼフ・シュムペーターなどが一例です。

 政治学は英語で「Political sience」です。まだPoliticsでは通じないでしょう。なんというか、経済学の2軍みたいで可哀そうになってきますね。

 

 さて、日本語ではこのeconomyを経済と訳していますが、この「経済」とはどういう意味なんでしょうか。economyの訳語として経済という語を当てたのは明治時代と言われていますが、元々は中国に昔からある言葉です。「経世済民」の略で、「世を経(おさ)め、民を斉(たす)く」という意味になります。まんま「政治」の事ですよね。大枠では政治の事や政治の在り方を指す言葉をeconomyの訳語として使用しました。ウィキペディアによれば漢字語圏ではだいたいeconomyの訳は「経済」となっているそうです。明治時代に日本人がこの翻訳をするまでは経済にeconomyという意味は無かったそうです。そういう意味では当時の日本人(訳者には所説あり、福沢諭吉であるとか西周であるとか、さまざまですが)はなかなか良いセンスをしていたなと思います。

 また、逆から見れば、経済とは世の中を平和に保つための重要な鍵の一つです。最大の鍵と言えるかも知れません。economyとはまさに世を治め人を助ける存在、だと思います。

 人類の歴史を見ますと、例外こそあれ、戦争や紛争の原因になっているのはいつでも経済的な要因です。もっと言えば貧困の問題です。また現代ではただ単純な貧困の問題ではなく、富の偏在の問題でもあります。この結果、人々は争い、時に殺しあうという悲劇が生まれます。これを防ぐためには、やはり経済学の出番なのです。出来るだけ多くの富を生み出し、極端な偏りなく多くの人にその恵みがもたらされる世界。これを実現するのが、経済学の究極の目的と言えるでしょうし、また多くの人がここまで読んで「いやそれは政治の目的だろう」とも思ったでしょう、まさしくその通りです。経済的問題を解決し、人々の幸せと平和を実現するのが、政治の目的であり、その為の理論を追求するのが政治学です。政治学は経済学を包摂した懐の広い学問であるとも言えますね。

 そうなってくると、なぜノーベル経済学賞はあるのに、ノーベル政治学賞は無いの?と疑問に思わざるを得ません。が、ありますね、政治の分野で功績を残した人に送られるノーベル賞。つまりノーベル平和賞です。これはだいたい政治家や活動家に送られてきましたが、今後はもっと政治学者にも与えられるべきではないかと思います。もちろんそれに見合う功績があったらの話ですが。(政治学者でとった人がいないということではありませんよ。)

 

 次回はそんな政治や経済の根源である「お金」についてお話してみようと思います。

 

※ただの一般市民の書く記事ですので、特にソースを示していない文章について、不正確であったり、私個人の誤解に基づいていたり、そもそも間違っていたり、する場合があると思います。そういった部分を見つけた方は出来るだけ優しく教えていただけると幸いです。勉強になります。またそういった理由により、記事を丸呑みするのではなく、興味を持ったらぜひご自分でいろいろ調べてみてください。